厚生労働省では税と社会保障の一体改革においてパートタイム労働者の厚生年金適用拡大の素案があがっております。
このような中、厚生労働省では、昨年の12月14日に平成 23 年「パートタイム労働者総合実態調査」(事業所調査)の結果を取りまとめましたので、内容を抽出して概要を記載します。
■就業形態別労働者を雇用している事業所の割合
平成 23 年6月1日現在で、パートを雇用している事業所の割合は 66.1%(平成 18 年調査(以下「前回」という。)61.0%)、正社員とパートの両方を雇用している事業所の割合は 61.0%(前回 57.8%)、正社員のみ雇用している事業所の割合は 25.0%(前回33.6%)となっています。
■雇用期間
正社員とパートの両方を雇用している事業所のうち、パートの労働契約の中での「雇用期間の定めがある」事業所は 51.4%、「雇用期間の定めがない」事業所は48.6%となっています。
また、パートの労働契約の更新方法については、「個々の労働者ごとに更新するかどうかを判断する」とする事業所が 64.6%と最も高い割合となっており、次いで「パートから終了を申し出なければ、自動的に更新する」とする事業所 26.9%の順となっています。
■役職
正社員とパートの両方を雇用している事業所のうち、「パートの役職者がいる」事業所は6.5%、「パートの役職者はいない」事業所は 91.7%となっています。
■賃金を決定する際に考慮した内容
正社員とパートの両方を雇用している事業所における賃金を決定する際に考慮した内容(複数回答)をみると、正社員では「職務の内容(業務の内容及び責任の重さ)」が81.2%と最も高い割合となっており、次いで「能力、経験」73.5%、「職務の成果」56.0%の順となっている。これに対し、パートでは「能力、経験」が 52.5%と最も高い割合となっており、次いで「職務の内容(業務の内容及び責任の重さ)」48.7%、「地域での賃金相場」37.3%の順となっています。
■パートの正社員転換推進措置の実施方法
正社員とパートの両方を雇用している事業所のうち、パートの正社員転換推進措置を「実施している」事業所の割合は 41.5%、「実施していない」事業所の割合は 56.6%となっています。
■採用時におけるパートへの特定事項(昇給・賞与・退職金)の有無の明示方法
正社員とパートの両方を雇用している事業所のうち、採用時におけるパートへの特定事項(昇給・賞与・退職金)の有無について「明示している」事業所の割合は 88.6%、「明示していない」事業所の割合は 10.6%となっています。
■処遇の説明
正社員とパートの両方を雇用している事業所のうち、平成 20 年6月から平成 23 年5月までの3年間に、パートから本人の処遇についての「説明を求められたことがある」事業所の割合は 15.6%、「説明を求められたことがない」事業所の割合は 73.5%となっています。
■改正パートタイム労働法施行を機に講じた改善措置
正社員とパートの両方を雇用している事業所のうち、平成 20 年4月1日の改正パートタイム労働法の施行を機に「実施した措置がある」事業所は 48.8%、「特に実施した措置はない」事業所は 48.6%となっています。
■正社員と同視すべきパート等の状況
正社員とパートの両方を雇用している事業所のうち、正社員と職務が同じパートのいる事業所の割合は 16.7%となっています。
■基本賃金(基本給)
正社員と職務が同じパートについて、基本賃金(基本給)の支払状況を正社員と比べてみると、「正社員とは算定要素が全く異なる」が 33.9%と最も高い割合となっており、次いで「正社員と算定要素が一部共通している」21.6%、「正社員と同様の算定方法(制度・基準)に基づいている」14.1%、「正社員と算定要素が全て共通している」9.4%の順となっています。
■役職手当
正社員と職務が同じパートに役職手当を支払っている事業所の割合は 17.4%で、このうち、「正社員と同様の算定方法(制度・基準)に基づいている」が 40.2%と最も高い割合となっており、次いで「正社員とは算定要素が全く異なる」32.5%、「正社員と算定要素が一部共通している」16.4%、「正社員と算定要素が全て共通している」10.8%の順となっています。
■賞与
正社員と職務が同じパートに賞与を支払っている事業所の割合は 56.2%で、このうち、「正社員とは算定要素が全く異なる」が 53.8%と最も高い割合となっており、次いで「正社員と算定要素が一部共通している」27.4%、「正社員と同様の算定方法(制度・基準)に基づいている」13.4%、「正社員と算定要素が全て共通している」5.4%の順となっています。
■退職金
正社員と職務が同じパートに退職金を支払っている事業所の割合は 26.6%で、このうち、「正社員とは算定要素が全く異なる」が 42.9%と最も高い割合となっており、次いで「算定要素が一部共通している」32.6%、「正社員と同様の算定方法(制度・基準)に基づいている」19.6%、「正社員と算定要素が全て共通している」4.9%の順となっています。
■正社員との間に賃金差がある理由
職務が同じ正社員よりもパートの1時間当たりの基本賃金が低い理由(複数回答3つまで)についてみると、「パートは勤務時間の自由が利くから」が 48.6%と最も高い割合となっており、次いで「正社員は企業への将来的な貢献度の期待が高いから」36.5%、「そういった契約内容でパートが納得しているから」35.2%の順となっています。
■その他
・「パートタイム労働者総合実態調査」は、事業所での正社員およびパートタイム労働者に関する雇用管理の現状とともに、パートタイム労働者の働き方の実態などを明らかにすることを目的としておおむね5年おきに実施しています。
・調査対象数 9,769 事業所 有効回答数 5,909 事業所 有効回答率 60.5%