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第129話「昇格昇給 不当労働行為再審査事件 中央労働委員会平成24年3月」

投稿日:2012年05月11日

中央労働委員会は、平成24年3月28日、標記事件に関する命令書を関係当事者に交付しました。

■ポイント

支部組合員の昇格昇給を、職能給表に定める「最長」期間の8年が経過するまで実施しなかった法人の対応は、不当労働行為に当たるとした事案です。

組合らが考課査定制度に反対していることを理由として、法人が昇格昇給のための人事考課を実施せず、職能給表で定めた期間の「最長」である8年が経過するまで放置したことにより、支部組合員に処遇上、経済上の不利益を生じさせた、このような対応は、不利益取扱いおよび支配介入の不当労働行為にあたるとしました。

また、これに関する団体交渉において、法人は組合らに説明・説得する姿勢を欠き、必要な資料の提示も行ないませんでした。このような対応は、誠実な交渉態度とは言えず、昇格昇給の先送りにより支部組合員に処遇上および経済上の不利益をもたらしていることから、不誠実団体交渉および支配介入の不当労働行為に当たるとしています。

■概要

1.法人が、
①平成11年8月に法人が経営する診療所の支部組合員に新賃金体系を適用したにもかかわらず、それ以降考課査定制度を運用せず、職能給表に定める昇格年数の「最長」の期間まで昇格昇給させないという取扱い(「昇格昇給の未実施」)をしたこと、
②平成18年3月14日から同年8月2日の間に開催された昇格昇給問題に関する団体交渉において、昇格昇給の未実施について、合理的な説明をしなかったことが不当労働行為であるとして、組合らが、救済申立てを行った事件です。

2.委員会は、いずれも不当労働行為に当たるとして法人に対し、
①新賃金体系を支部組合員に適用した平成11年に考課査定制度の運用も開始したものとみなし、各資格等級ごとに基本給規程別表の職能給表に定める「昇格年数」の「標準」の期間で昇格昇給したものとして取り扱い、各支部組合員の昇格昇給日以降の賃金及び一時金を是正するとともに、同人に対し、是正後の金額と既に支払われた賃金及び一時金との差額支払うこと、
②文書手交を命じたところ、法人は、これを不服として、再審査を申し立てました。

※医療法人 従業員約400名で起きた事案です。

以上

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