コンサルタントコラム

3月号「定年延長」 担当 並木(伸)

投稿日:2023年03月10日

先日あるクライアント(以下A社)で、定年年齢を65歳まで延長することとなりました。
元々A社では、60歳定年後の再雇用は、基本給(勤続給と実力給)の昇給はなく、1年ごとの契約更新を行っていました。
しかし管理職から、これではモチベーションが上がらないのではないかという意見があり、今回の改正が実現しました。

定年延長によるメリットは、一般的に下記のようなものが挙げられます。
・体力的にもまだまだ働けると感じ、高い就労意欲を持つ方が増えているなか、引き続き高いモチベーションを保って働いて頂ける
・年金ではなく雇用による定期収入があることにより、生活設計上の安心感を持って頂ける
・少子高齢化の影響により労働力人口が減少し、優秀な働き手の確保がより一層難しくなるなか、豊富な経験やノウハウを持つ方に、引き続き戦力として能力を発揮して頂ける

3月1日より改定することとしましたが、現在57歳以上の場合は、過渡期の対応として60歳定年か65歳定年かを選択できるよう配慮しました。

先月行われた説明会は、特に質問や意見もなくスムーズに進行していきましたが、最後に以下のような発言がありました。
「我が社は賃金改定が2月なので、今回の賃金改定時点で60歳以上65歳未満の場合は、従前通り昇給はなく、来年2月時点で60歳以上65歳未満の場合、そこから昇給対象となることについて、なぜ今年から昇給しないのか。現時点での対象者が決して多くはないので、その昇給分でいくらというわけではないのに、今年から対応できないのか。」という意見です。
これに関して説明会のオブザーバーを務めた岡田より、「あくまでもルールの問題。改定日を3月1日と会社が定めたので、あくまでも3月1日以降というルールを守って運用するべき。昇給分が多くないから払える払えないという問題ではない。」と回答しました。
ここを譲ってしまうと、過去に昇給ストップしていた勤続給は遡らないのか等、他にも遡及を求める意見が出かねません。
社員にとってメリットの多い改定でも、ネガティブな意見が出たり、思うように受け取って頂けないこともありますが、毅然とした対応を取ることが重要です。
今回の定年延長により、A社社員の働きがい甲斐が向上することを見守りたいと思います。

以上

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