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第1話「就業規則は我が社の社員を育てます」

投稿日:2002年07月16日

今年の経営計画はこのように 今期の売上目標はこのくらいで
経営会議、企画会議、仕事の打ち合わせなどなど、会社はさまざまな機会に会議を開いて事業の発展・向上を続けていきます。

その会議を行うのは人です。ものを売るのも創るのも人、事業計画を立てるのも人、企業に必要な情報を集めるのも人。金、もの、情報のすべてを扱うのは人のはずなのに、大切な我が社の人材を育てる人財会議が我が社で開かれているでしょうか?

我が社は我が社の人材をどう視ていくのか、人材を人財に育てるためには、どう考えていくのか、そんな打ち合わせが開かれているでしょうか?
5年後の我が社の人材をどんな人財に育てたいのか。そのためには今をどうしていくのか、人についての基本となる我が社のルールを今年はどのように見直していくのかなどについての話し合いがもたれているでしょうか?

我が社の人材を我が社の人財に育てる 我が社のルールが就業規則です
就業規則には、我が社の労働条件や処遇方法が規定されています。
我が社の社員として、何に対して、どのように働けば、どのように評価され、賃金や賞与はどうなるのか。我が社の社員として、やらなければならないことは、やってはいけないことは等々。就業規則は我が社の規則の基本です。

就業規則は社員全員の納得のいく人事・労務管理のルールを規定しています。
我が社の社員がイキイキと働く職場環境をつくります。

▼これからの労務管理と就業規則
1.時代は大きく変わっています。働く意識も価値観も多様化をしています。パートタイマーなど、働き方の異なる人材の規則も必要です。

2.時代の変化は終身雇用から使用者も労働者も働く時間、働く期間、働き方などを選択できる時代になりました。
雇用形態や労働力などへの対応を規定しておきましょう。

・正社員
・契約社員
・嘱託
・出向
・派遣社員
・パートタイマー

3.自己責任の時代です。これからはよい意味での個別主義が求められています。職場の人事・労務管理も、個人ごとに納得できる評価をすることも就業規定に規定すれば社員との絆が深まります。

4.労働時間は原則として1週40時間1日8時間です。
しかし、変形労働時間制の活用によって、我が社の労働時間の自由設計が可能となります。

・1カ月単位の変形労働時間制
・フレックスタイム制
・1年単位の変形労働時間制
・裁量労働時間制・事業場外労働制(みなし労働時間制)

5.休日労働も就業規則の規定された振替休日制度を活用により、通常の労働日の労働として取り扱われます。

6.会社は社員に対して安全で安心な職場を提供する安全配慮義務があります。
職場の整理整頓、社員の躾は服務規律の規定の基本です。

7.人の命など、安全をお金で換算することはできません。しかし、もし万が一の事故が起きてしまったら、労災事故の上乗せ補償など企業の責任は重大です。
長時間労働や人間関係からの精神的ストレスが引き起こす過労死の問題もこれからは見過ごすことできない重要な安全衛生の課題です。
安全衛生規定を充実させましょう。

(1)雇い入れ時の健康診断
(2)1年以内の定期健康診断
(3)深夜労働の場合の健康診断は年2回実施が必要
(4)食品衛生業の健康診断
(5)使用者には健康診断の結果を労働者へ告知義務
(6)安全衛生管理体制の確立

8.車社会の交通安全対策も大きな問題です。
仕事も通勤もレジャーも車が不可欠な現代社会。車は、一歩間違えば自分も人の命も左右する大きな事故を引き起こします。
労災保険は通勤災害事故も補償します。

雇い入れ時の提出書類に通勤経路図の提出を規定しておきましょう。
安全配慮義務のひとつです。

相手をいたわる思いやりの心を規定した配慮義務規定の記載は、セクハラ防止につながります。

9.創造性豊かな人材を育てること、その創造性豊かな人財がその能力を十分に発揮できる職場環境のための条件整備の規定は我が社の人財を育てます。

10.アウトソーシングの有効活用は労務管理の知恵と知識を拡大します。
人材派遣会社からの労働者の処遇に関しても規定の策定が必要です。
我が社の社員と派遣社員のトラブル防止や公平な処遇のためにも規定の作成を。

 

就業規則は人財の育成・安全衛生の整備・マナー向上のための指導等、日々、活用することを念頭において、細やかに規定を作成していきましょう。

しかし、どんなに優秀な就業規則でも、法律改正等によって規則の見直しが求められます。

まして企業は生き物です。いつも変化しています。
法改正がなくても、1年に1回程度は我が社の社員のレベルアップに合わせます。

就業規則も、我が社の人財育成、マナー向上に有効に機能するように、見直していきましょう。

労働基準法は労働条件の最低基準を定めています。
その最低条件を守ることが、使用者と労働者の信頼を深めます。
就業規則は、使用者と労働者の信頼の架け橋なのです。

会社と社員の信頼が人材を育てる基本です。
就業規則の整備から人材が人財に育ちます。

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