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第65話「36協定の特別条項が改正されます(H16年4月1日)」

投稿日:2003年12月26日

1. 時間外労働・休日労働を行うための要件
     法定労働時間(原則週40時間1日8時間)を超えて、また法定休日(原則1週1日)に働く場合には、労働基準法第36条に規定する時間外労働時間数や休日労働の回数を取り決めた36協定を、所轄労働基準監督署長に届け出なければなりません。時間外労働による延長時間は、厚生労働大臣が限度基準を定めて告示し、原則として、この限度基準を超えた時間外労働は禁止されています。

2.特別条項付協定とは何か
     限度時間を超える一定の時間まで労働時間を延長することができる旨をあらかじめ協定によって定めるとともに、延長する場合の(1)特別な事情、(2)手続き、(3)特別に延長する時間を届け出れば、限度時間を超えて、その届出を行った時間まで時間外労働を行うことが可能となります。この協定を特別条項付き協定といいます。

3.改定事項について
(1)「特別な事情」は「臨時的なものに限る」と改定
     「特別な事情」について、現行では、36協定で定めた「時間外労働をさせる必要がある特別な事情」とされ、「労使当事者が事業又は業務の態様等に即して自主的に協議し、可能な限り具体的に定める必要がある」(平11・1・29基発第45号)と示されています。しかし、どのような場合が「特別な事情」に該当するかの明確な基準が示されていないため、恒常的に特別条項付き協定に基づく時間外労働が行われていることが問題視されていました。このため、労働政策審議会労働条件分科会で検討が行われ、H15・10・22改正された告示が発表されました。
告示(平・15・10・22厚生労働省第355号)では、「特別な事情」は「臨時的なものに限る」と明示され、この「臨時的なもの」について、通達(平・ 15・10・22基発第1022003)では「一時的又は突発的に時間外労働を行わせる必要」があるものとしています。「業務の都合上必要な時」とか「業務上やむを得ないとき」などのような、恒常的な長時間労働を招く様なおそれがある場合には、「臨時的なもの」には該当しない、とされました。
(2)延長することができる回数も協定
     「「特別な事情」を「臨時的なものに限る」との改定を徹底させる趣旨からも「一日を超え3カ月以内の一定期間について、特別となる延長時間を超え、特別延長時間まで労働時間を延長することができる回数を協定するもの」としています。
その上で、限度時間を超えて労働を行う特定の労働者については特別条項付き協定の適用が一年のうち半分を超えないもの」としています。平成16年4月1日からは、計画的な時間外労働を行うことが必要となります。
(3)平成16年4月1日以後の届出から適用
     この特別条項付協定の適用期日は平成16年4月1日とされましたが、適用されるのは、同日以後に時間外労働協約を適用する場合、同日以前に適用された時間外労働協定を同日以後に更新する場合です。
平成16年3月31日までに締結・届出を行えば現行の規定のとおり、時間外労働の限度基準を超えて働く回数は12カ月間となります。

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