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第66話「年金改正にかかる厚生労働省案」

投稿日:2003年12月26日

年金制度では、5年に1度、給付内容や保険料水準の見直しを行っています。
次の年金改革時期にあたる平成16年には給付と負担の抜本的改革を行うことを軸としています。次の内容が改革の案として出されています。

給付と負担の見直し 1.基礎年金の
国庫負担割合
  • 現行3分の1を2分の1へ引き上げる。
2.保険料率
  • 保険料水準固定方式を導入し、最終保険料を厚生年金は18、35%(労使折半)、国民年金は月額1万7000円台とする(平成16年度価格)
  • 保険料引き上げの凍結を解除する。
  • 最 終保険料に達するまで(厚生年金は平成34年度、国民年金は平成23年度に到達)保険料の引き上げを毎年実施する。厚生年金は年0.354%ずつ、国民年 金は年600円(平成16年度価格)ずつ毎年引き上げられる(厚生年金は平成16年10月分から実施、国民年金は平成17年4月分から実施)。
3.給付水準
  • 社会全体の保険料負担能力の伸びに見合うよう年金改定率を自動的に調整する「マクロ経済スライド」を導入する。ただし、前年度の名目年金額を下回る場合は前年度の名目年金額を維持(名目年金下限型)。
  • 給付水準は50%を下限とし、50%から50%台半ばを確保する(平成25年以降のモデル年金の所得代替率は基準ケースで54.7%)。
4.積立金
  • 財政均衡期間を95年間とする有限均衡方式を導入し、95年間で積立金を取り崩して給付に充当する。財政均衡期間の最終年度(2100年)における積立金は給付費の1年分に抑制。
多様な働き方への対応 5.パートの
適用基準
  • パートの適用基準を週20時間以上に変更する。この際、経過措置など一定の配慮を行う。
  • 特別の低い標準報酬区分を設定する。被扶養者への年金給付は行わない。
  • 現在、定時決定等で報酬支払基礎日数20日以上の月を算定基礎としている点を見直す。
6.在職老齢年金
  • 60歳以上65歳未満の在職老齢年金制度の一律2割カットを廃止する。
  • 現行の65歳以上70歳未満の在職老齢年金制度を70歳以上の在職者にも適用。
  • 65歳以降の老齢厚生年金に繰り下げ受給制度を導入する。
7.女性と年金
  • 厚生年金について、サラリーマンの夫の年金を専業主婦(第3号被保険者の妻)に分割する仕組みを導入する。
  • 離婚時に夫婦の合意により厚生年金を分割できる仕組みを導入する。
  • 遺族厚生年金は、本人の老齢厚生年金の全額受給を基本とし、現行水準との差額を遺族厚生年金として支給する仕組みとする。子のいない若齢期の妻への遺族厚生年金は有期の給付とする(例えば、20歳台は5年間など)。
8.次世代育成支援
  • 保険料免除期間を子が3歳に達するまでの育児休業期間中に拡充する。
  • 子が3歳に達するまでの期間について、育児のための勤務時間の短縮等の措置を受けながら働いた者に対し、措置の適用前の標準報酬で保険料納付が行われたものとして給付を算定する措置を創設する。
その他  
  • 第3号被保険者の特例届け出を実施し、過去の届け出忘れを救済する。
  • 国民年金に所得水準に応じた多段階の保険料免除制度などを導入する。
  • 確定拠出企業年金の限度額を引き上げる。
  • 被保険者に対し、年金個人情報、保険料納付実績(年ごとに点数化して表示。ポイント制)を定期的に通知する。
  • 厚生年金基金制度について
    (1)免除保険料率の凍結解除
    (2)解散時の特例措置の創設――等を実施する。

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