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第67話「労働関係と労働義務」

投稿日:2004年02月02日

1.権利と義務
     会社等の選考試験に合格して採用されたということは、会社と労働者との間に「採用して下さい」「採用します」という、労働契約が成立したことになります。この労働契約から使用者と労働者の間には権利と義務が発生します。

権   利 義   務
会社 労働時間の拘束 労働に対する賃金の支払い
労働者 労働に対する賃金の請求 労働時間の拘束

2. 使用者と労働者の法的関係
     会社と労働関係を結び入社としたということは、その会社の従業員になったことであり、会社の組織にその一員として組み込まれたことになり、会社と従業員との間にはいろいろな法律関係が発生することになります。
    
(1)労務提供義務
     従業員として勤務する関係から、労働義務が発生し、労働者は労働契約により約束された労務の給付義務を負うことになります。すなわち、労務を提供するということは、ただ単に”寝てでもはってでも、会社へ行けばよい”というものではなく、上司から指示された仕事が心も体力も完全に命じられた仕事が完全にできる心身の状態で出勤しなければならない労働義務を負うことになります。
    
(2)使用従属関係
     上記ような、労働契約が成立すると、労働者は従業員として企業組織に組み入れられ、職場秩序に従い使用者の指揮命令を受けて労務に服することになりますが、このように使用者の支配下において、その業務命令を受けて働く関係を「使用従属関係」といい、これが職場生活の基礎的な法律関係ということになります。
    
(3)遅刻は債務不履行となる
     したがって、たとえば始業時刻に遅れることは、労働契約に定める時間に、労務を提供しないという債務不履行(約束違反)にとどまらず、それは他の労働者にとっても、共同作業ができないという結果を招き、あるいは会社の業務を停滞させ、会社の取引を害することにもなり、職場規律を乱し職場の共同生活上のルールにも違反することになります。
    
(4)労働義務とは
     つまり、労務の提供は「債務の本旨に従わなければならない」(民法415条)という一般契約上の債務履行を負っています。
のように、労働者は労働契約を結ぶということは「債務の本旨に従った」労働を約束した次のような「労働義務」を負っています。
    
A)心身ともに完全な状態で
B)所定の労働日に定められた始業時刻までに
C)当日の労働に適する服装(作業服、安全帽、安全靴等の着用)で
D)労務を提供しなければならない

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