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第95話 「有期労働契約に関する実態調査概要(厚生労働省調査)」

投稿日:2009年10月16日

厚生労働省は平成21年7月に実施した有期労働契約に関する実態調査結果を発表した。

■調査時期 平成21年7月

■調査対象数 約10,000事業所(有効回答数 60.5%)/常用5人以上無作為抽出

■結果の概要

1)有期契約労働者を雇用している事業所割合は35.9%。
このうち正社員と同様の職務に従事している有期契約労働者が53.6%にのぼる。

2)有期契約労働者を雇用しない理由としては、「正社員に比べ、技能の伝承ができず、
将来的な技術水準の維持に不安があるから」が35.5%と最も多く、次いで「正社員に
比べ、サービスや品質維持に不安があるから」が27.8%となっている。

3)有期契約労働者を雇用している理由としては、「業務量の中長期的な変動に対応する
ため」が38.9%と最も多く、次いで「人件費を低く抑えられるため」が37.7%となっている。

4)有期契約労働者を雇用できなくなった場合の影響をみると、「事業が成り立たない」
53.8%と最も多く、次いで「深刻な影響があるが事業運営上対応が可能」28.9%、
「あまり影響はない」15.7%となっている。なお、事業が成り立たない理由をみると、
「人件費コストが増大するから」が54.9%を占める。

 5)希望する継続雇用期間は「出来るだけ長く」が最も多く40.4%、次いで「1年超~
3年以内」が17.9%となっている。

 6)1回あたりの契約期間は「6ヶ月~1年以内」が最も多く54.2%、次いで「3ヶ月超~
6ヶ月以内」が19.6%となっている。

 7)契約更新回数は「3~5回」が最も多く39.5%、次いで「6~10回」が21.9%となって
いる。

 8)勤続年数は「1年超~3年以内」が28.7%と最も多く、次いで「3年超~5年以内」が
28.1%となっている。

 9)労働契約締結時における「契約期間」「更新の有無」「更新の判断基準」について明示
している割合を見ると「契約期間」が91.7%、「更新の有無」が82.9%、「更新の有無の
判断基準」が62.2%であった。

 10)契約の更新形態をみると、「更新の都度、契約期間等について詳しく説明を行った
うえで、労働者の署名または記名押印を求めている」が52.3%と最も多く、次いで「更新
の都度、労働者の署名または記名押印を求めているが、詳しい説明は行っていない」
16.7%、「自動的に更新している」14.4%となっている。

 11)残業の有無については「残業することがある」は62.5%、正社員と同様の職務に
従事している有期契約労働者ではその割合が68.2となっている。

 12)異動・転勤の有無を見ると「異動・転勤することがある」が21.1%となっている。
「ブロック内など、地域の制限がある」が48.9%と最も多くなっている。

 13)昇進の有無をみると「昇進することがある」が18.1%となっている。

 14)正社員と比較した基本給の水準をみると「6割以上8割未満」が31.8%と最も多く、
ついで「8割以上10割未満」24.7%、「4割以上6割未満」16.9%の順となっている。

 15)退職金・賞与の有無をみると「退職金がある」は12.6%、「賞与がある」は45.6%と
なっている。なお、退職金がある場合の水準をみると、「正社員と同額程度」が29.9%と
最も多く、次いで「正社員の2割未満」が24.6%となっている。

 16)教育訓練機会をみると、「全般的に正社員とほぼ同じ教育訓練機会が与えられて
いる」が28.3%と最も多く、次いで「教育訓練機会は正社員と比較して少ないが、業務に
必要な教育訓練機会は正社員とほぼ同じ」26.6%となっている。

 17)正社員転換制度の有無をみると、「制度がある」46.5%、「制度はない」50.4%と
なっている。なお、正社員転換制度がある場合、実施する上での支障を見ると「特に支障
はない」が51.3%と最も多く、次いで「正社員としてのポストが少ない」が20.8%となって
いる。

 18)過去3年間の雇い止めをみると、「雇い止めを行ったことがある」30.3%「雇い止め
を行ったことがない」64.9%となっている。なお、雇い止めに対する考え方をみると、
「雇い止めはあるかもしれないが、やむを得ない場合に限って行う」が52.9%と最も多く、
次いで「雇い止めのルールはなく、個別に判断する」14.1%となっている。
また、雇い止めに先立つ手続きとして「契約を更新しない旨を口頭で伝えた」が52.9%と
最も多く、次いで「雇い止めする労働者との個別面談」43.9%、「契約をしない旨を書面で
伝えた」38.2%の順となっている。

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