厚生労働省の「労使関係法研究会」は、このほど労働組合法上の
労働者性の判断基準について報告書をとりまとめました。
労働組合法で定義される「労働者」に該当するか否かについて
判断が困難な事例が多い中で、確立した判断基準が存在してお
りませんでした。
業務委託・独立自営業といった働き方をする人が加入する労働
組合が、契約先に対して団体交渉を求めたところ、労働者では
ないとして団体交渉を拒否され、紛争に至る事例が生じているこ
とを踏まえ、このほど労働組合法上の労働者性の判断基準を初
めて提示しております。
具体的には、以下の判断要素を用いて総合的に判断すべきもの
としています。
(1)基本的判断要素
①事業組織への組み入れ
労務供給者が相手方の業務の遂行に不可欠ないし枢要な
労働力として組織内に確保されているか。
②契約内容の一方的・定型的決定
契約の締結の態様から、労働条件や提供する労務の内容を
相手方が一方的・定型的に決定しているか。
③報酬の労務対価性
労務供給者の報酬が労務供給に対する対価又はそれに類
するものとしての性格を有する
(2)補充的判断要素
④業務の依頼に応ずべき関係
労務供給者が相手方からの個々の業務の依頼に対して、
基本的に応ずべき関係にあるか。
⑤広い意味での指揮監督下の労務提供、一定の時間的場所
的拘束労務供給者が、相手方の指揮監督の下に労務の供給
を行っていると広い意味で解することができるか、労務の提供
にあたり日時や場所について一定の拘束を受けているか。
(3)消極的判断要素
⑥顕著な事業者性
労務供給者が、恒常的に自己の才覚で利得する機会を有し
自らリスクを引き受けて事業を行う者と見られるか。
以上