メンタルヘルス、事業場でやり方・進め方が分からず対応に苦慮
-3割の事業場で「不調者が増加」-
中央労働災害防止協会はこのほど、製造業2,000事業場、サービス業1,000事業場を対象に『事業場におけるメンタルヘルス対策の実態』を把握するためアンケート調査を実施し、以下のとおり調査結果を発表しました。以下にその概要を記載します。
■ メンタルヘルスへの事業場の関心は高く、担当部署の組織化が進展
①ほぼ全事業場でメンタルヘルスケアに「取り組んでいる」あるいは「関心がある」。②担当部署を「決めている」あるいは「決める予定」が90%。③相談窓口を「設置」あるいは「設置の予定」が85%となっています。
○メンタルヘルス対策に「取り組んでいる」と回答した事業場は全体で193事業場、「取り組んでいないが関心がある」との回答は61事業場で、「取り組んでいる」、「関心がある」を合わせると99%となり、回答事業場のほとんどがメンタルヘルスへの関心は高いという結果であった。
○実際に「取り組んでいる」と回答したのは、製造業80.2%、サービス業等62.3%で、製造業での実施率は高いものとなっています。
■ 4割強で「従業員の実態調査」を実施しているが、実施率は製造業に比べサービス業は低調
○従業員のメンタルヘルスに関する実態調査について、「ある」との回答は全体で107事業場(41.8%)で、「今後調査予定」も含めると175事業場(68.4%)となるが、情報提供や教育の実施に比べて実施率は低いものとなっています。「調査予定なし」との回答は61事業場(23.8%)あった。
○業種別では、「ある」との回答は製造業46.5%、サービス業等29%。「今後調査予定」も含めると、製造業で73.8%、サービス業等53.6%で、製造業の方が高い。
「調査予定なし」は製造業で19.3%、サービス業等36.2%であり、実態調査実施については、製造業は高く、サービス業等は低いという結果であり、業種別にはっきりと差が見られています。
■ 7割強で教育の実施、関連情報の提供も積極的
①メンタルヘルス教育の実施は74%、社内報や小冊子の活用は73%。②メンタルヘルス教育の実施対象は「まず管理職から」。③担当者の情報の入手は、セミナー受講とインターネットから。
■ 困っていることは「不調者の増加」「社員の関心が低い」「やり方がわからない」
3割の事業場でメンタルヘルス不調者が増加している。次いで社員の関心の低さ、教育方法等の進め方・やり方がわからないなどがあがり、企業がメンタルヘルス対策に苦慮している現状がわかります。
○「教育方法(従業員、管理職)がわからない」と回答したのは延べ88事業場。また、「やり方などがわからない」について、セルフケア、事業場としての対応、相談窓口設置、外部相談機関、環境改善、職場復帰支援の各項目を合わせると延べ164事業場であった。教育方法を含め「やり方・進め方が分からない」という回答は延べ252事業場にも上っており、メンタルヘルス対策に苦慮している状況が想定できる結果となっています。
■参考
調査数・対象:3,000事業場
【製造業 2,000事業場及びサービス業等(サービス業、卸・小売業、IT関連企業等) 1,000事業場】
調査期間:平成24年9月14日(金)~9月21日(金)
回答数:256事業場
【製造業が187事業場(73%)、サービス業等は69事業場(27%)】
この結果を踏まえ、中災防ではストレス調査、各種メンタル教育、メンタルヘルス情報の提供など、事業場のメンタルヘルス対策への支援を強化していくこととしています。
以上