厚生労働省の「非正規雇用労働者の能力開発抜本強化に関する検討会」は、非正規雇用労働者の能力開発の強化策について、検討を重ねてきましたが、その検討の結果として、このほど報告書を取りまとめました。
厚生労働省は、この報告書の施策の方向性を踏まえ、今後、非正規雇用労働者の能力開発の強化に向けた具体的な取組を推進していくこととしています。
【報告書のポイント】
■基本的な視点
○ 正規・非正規という雇用形態にかかわらず、将来に夢や希望を持ちながら安心して生活を送れるような収入を確保できるよう、能力開発機会を提供し、キャリアアップを支援(特にフリーター等不本意非正規に焦点)
○ 能力開発の主体については、個人がその取組の中心となるが、個人任せでは限界があるため、非正規雇用の労働者を「人財」として、企業、業界団体、公的部門等社会全体で育成していくことが不可欠。
○ 能力開発後の処遇やキャリアパスなど「将来像」を「見える化」、労働者一人ひとりに施策が「届く」よう積極的に情報発信、身近な地域での能力開発の提供等
■施策の方向性
①フリーター等不本意非正規の増加の防止
・雇用・就業志向の積極的な教育政策 (職業人としての自覚等に関するキャリア教育の充実等)
・初期キャリア形成支援(早期離職防止、劣悪な雇用管理の企業の指導)
②複線的なキャリアアップの道の確保、労働者の選択に応じた能力開発機会の確保
(正規雇用への転換)
・即戦力重視型訓練と人間力養成型訓練の開発・実施
・地域コンソーシアムによる身近な場での訓練実施
(企業内でのキャリアアップ)
・統合型雇用管理の普及、企業によるキャリアアップに向けた取組への包括的支援
(企業の枠を超えたキャリアアップ)
・専門職型キャリアシステムの構築(スキルポータビリティ化に向けた資格・検定制度の再構築、
キャリアアップ型派遣モデルの推進)
⇒上記の選択肢を個人が主体的に選べるよう、キャリアサポート環境を整備(キャリア・コンサルタント等の人材育成・配置等)
③労働者の能力の労働市場での適切な評価、相応の処遇確保のための環境整備
・実用的な職業能力評価ツールの整備(ジョブ・カードや職業能力評価基準の活用に向けた見直し、スキルポータビリティ化に向けた資格・検定制度の再構築)
以上