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第4話「給与計算と端数処理」

投稿日:2002年07月16日

いろいろな計算を行うとき端数が生じることがあります。その場合の端数処理は、その法律の定めるところによりますが、労働基準法では、法の性格から、法に達しないこととなる端数処理は認められません。したがって、その端数処理の内容によって、「切り上げ」や「切り捨て」を行うことになります。

また、平均賃金の計算の際に「銭位未満の端数を切り捨て」ててよいことから、端数処理をしない数字として、少数第2までの数字を用いることもできます。

ところが、給与計算に限って、次の3つについて「常に労働者に不利になるものではなく、事務簡便を目的したものと認めれる」として、四捨五入の端数処理を用いても、法違反としないとする行政解訳があります。

(1)1カ月における時間外労働、休日労働および深夜業の各々の時間数の合計に1時間未満の端数があるとき。
(2)1時間当たりの賃金額および割増賃金額の円未満の端数が生じたとき。
(3)1カ月における時間外労働、休日労働、深夜業の各々の割増賃金の総額に1円未満の端数が生じたとき。

給与計算で増数処理を必要とするのは、一般的には次のような場合です。

(1)通常の1時間当たりの賃金額を計算するとき。
(2)1時間当たりの割増賃金額(残業単価)を計算するとき。
(3)1カ月の割増賃金額(残業手当額)を計算するとき。
(4)1カ月の時間外労働時間、休日労働時間等を計算するとき。

割増賃金計算の端数処理の方法については、就業規則(給与規則)に定める必要がありますが、次のような方法が考えられます。

(1)切り上げ
(2)四捨五入
(注) 「切り捨て」は、常に労働者の不利となり、前ページの行政解訳に反します。

欠勤・遅刻等の不就労時間に対する賃金を支払わない定めの場合には、不就労時間及び不就労額の計算(欠勤控除といわれる)を行う際の端数処理は「切り捨て」ることになります。

「切り上げ」は「5分の遅刻を30分の遅刻として賃金カットするというような処理は、労働の提供がなかった限度を超える25分のカットは、賃金の全額支払の原則に反し、違法である」(行政解訳)となります。

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