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第6話「新5S活動の基本的な考えについて」

投稿日:2002年07月16日

集団食中毒事故、コンクリート剥落事故、医療事故、不良品不正販売、京福電鉄列車正面衝突事故、日本航空機エンジントラブル事故、航空自衛隊誤発射事故など、品質や安全に関する問題が多発しています。これらの欠陥原因が、モラルやマナーの欠如に起因しているのが特徴です。

またマニュアルを守らなかったり、隠しごとをして、人間関係で一番大切な信頼を裏切り、冒頭のような社会問題を引き起こしています。こういった社会的な重大事故、社会問題を発生させない企業に成長させるには、何と言ってもその企業で働く人の質を高める(人づくり)ことがすべてに結びつきます。

そして「人」づくりの基本は「しつけ」からと、新5S活動(躾・整理・整頓・清掃・清潔)を通して安全面を考えてみました。

1.「躾」で束ねる新5S
躾は、安全はもちろんのこと、整理・整頓・清掃・清潔の要であり職場のみならず、社会や家庭においても、人間形成をしていく上での基礎になるものです。
(1)うそをつかない、隠しごとをしない、言い訳をしない
(2)守らない、守れない、守りにくい、の理由は何かを聞く
(3)後から使う人の身になって行動する(品質管理の基本的な考えは”後行程はお客様”)

2.「整理」で仕分け、減らして利益
整理とは一般に、乱れた状態にあるものを整え、秩序正しくすることをいいます。新5Sでの整理とは、必要なものと不必要なものを分けること。そして、不必要なものを不要と不用に分け、必要な「モノ」はいつでもすぐ使えるように片付け、不用な「モノ」はリサイクルする、売却する、捨てることです。
そのための、判断基準をつくることから始めます。
(1)ゴミを出さないように後先考えて仕事する
(2)不必要な「モノ」は溜めないで、書類もすぐに不要と不用に分けて処分する
(3)物品の処置基準や文書保存基準をつくる

「整理のメリット」
(1)保管棚、キャビネット、ロッカー、書架などが少なくなる。管理工数が減る。
(2)職場のスペースが広くなる
(3)不要品を置かないので在庫が減る
(4)棚卸しなど、管理に要する諸経費が減少
(5)仕掛品の余分がなくなる

3.「整頓」し、配置や置き方工夫
一般に整頓とは、よく整った状態にすることをいいます。新5Sでの整頓とは、整理した後、必要なモノがいつでもすぐ取り出せて、使えるようにしておくことです。そして、使う頻度によって配置や置き方、作業・運搬の方法を工夫し、ムダな時間を無くすことです。

(1)「使うモノ」は身につけ、「使わないモノ」は、すぐに使えるように片付ける
(2)置き場、置く位置、置き方を決める
(3)文書(データ)は、保管と保存の区分をする

「整頓のメリット」
(1)労働災害を防ぐことができる
(2)すぐ「モノ」が取り出せ、元に戻すことができ、探す時間が減る
(3)運搬に要する時間が減る
(4)紛失による買い足しがなくなる(ムダなコストを削減)
(5)工程の停止や、計画変更が減る

4.「清掃」は、すぐに、手早く、当然に
清掃を余計で厄介な仕事と考えている人が、たくさんいます。しかし清掃は大変重要な仕事です。「清掃」は「心を養い」「心をきれいに」することです。心をきれいにするとは、具体的には、からだをきれいにし、衣服をきれいにし、家や職場をきれいにし、国土をきれいにすることと不可分のものです。これは納得させ、実行して体得してもらうしかありません。職場をきれいにするには、清掃という行為がないと実現しません。清掃は、まず身のまわりから始めます。

(1)はじめから汚さない、汚れない工夫をする
(2)ひと仕事したら、手早く清掃するよう心掛ける
(3)清掃は、関心をもって行えば点検になる

オペレーターが機械や整備を、心を込めて手入れすると、欠陥が見つかることがあります。何をするにしても「けじめ」が大切です。使ったら戻す、散らかしたら片付ける、こぼしたら拭く、借りたら返す、これらは「当然のこと」です。

5.「清潔」の鏡が写す新5S
清潔とは汚れがなく、きれいな状態(クリーン)を意味する言葉です。新5Sでは、清潔な職場こそ、働く人たちにとって安全で、衛生的で、ロスが少ない、働きがいのある職場環境であるといいます。

(1)手を洗い、クリーンに
(2)ほこり、油、水漏れ、粉漏れなど汚れの元を絶つ
(3)ガラスには張り紙をしない。掲示はきれいにする

清潔にするための要素は、前述の躾・整理・整頓です。整理・整頓・清掃をし、それらを継続して管理すれば、清潔が保たれるようになります。心が養われ、きれいになった、新5Sの成果の具体的な現れです。清潔は人によって感じ方が異なります。

同じファッションでも異様に感じる人、感じない人、また地べたに座り込んでいる人を見ても、ある人は見苦しく感じ、ある人は全然気にならないのです。職場でも、美しいものが率直に美しく感じられるような感性、美感(美に対する感覚)を磨くことが大切です。

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