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第33話「入社後50日のアルバイトに過労死の労災認定」

投稿日:2002年07月16日

家族が会社を相手に1億3000万円の損害賠償請求訴訟を大阪地裁に提訴1996年6月雑誌編集会社に勤務していた当時21歳のアルバイトが虚血性心疾患で突然死をした問題で大阪労災保険審査官は過労による労災と認定しました。

認定理由の主な理由は次のとおりです。
1)担当業務は中古車情誌の制作を担当
2)死亡前9日間の労働時間は116時間と1日12時間以上の長時間勤務
3)1ヶ月の時間外労働93時間
4)不規則勤務に加えて、常に精神的な緊張を強いられていた

1.平成13年12月に脳・心臓疾患の認定が下記のように改定されました。

(1) 脳・心臓疾患の発生に影響を及ぼす業務による明らかな過重負荷として、長時間にわたる疲労の蓄積を考慮すること(長期間の過重業務)

(2) (1)の評価期間を発生前おおむね6ヶ月間とする

(3) 長期にわたる業務の過重性を評価するための具体的負荷要因(労働時間、不規則な勤務、交替制勤務・深夜勤務、作業環境、精神的緊張を伴う業務等)やその負荷の程度を評価する視点を示したこと
・対象疾患
1)脳血管疾患
脳内出血(脳出血)、くも膜下出血、脳梗塞、高血圧性脳症
2)虚血性心疾患等
心筋梗塞、狭心症、心停止、解離性大動脈瘤

2.過労死の労災認定の請求件数が増加
(1)過労死等で労災補償をした件数
・平成12年度  619件
・平成13年度  690件

(2)「業務上疾病」と認定された件数
・平成12年度  85件
・平成13年度  143件

3.身近にありそうな過労死認定事例
(1)宅配便の営業所長の心臓性突然死
発症前1~2カ月前がお歳暮の時期であったことに加え、アルバイトの増加、配送ミスの増加への対応に追われていた。

(2)コンピュータ関連事業の営業課長がくも膜下出血
部下の退職等もあり、発症前3ヵ月間は多忙を極めていたが、この間連続出張も含め、頻繁に県外出張を行っていた。

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