得々情報

第49話「労働基準法における賃金とは」

投稿日:2003年03月28日

労働保険の年度更新の基礎となる賃金と労働基準法で規定している賃金とは、少し内容に相違があります。労働保険は、実労働時間に対して支払われた賃金総額に基づいて計算します。
ところが、労働基準法における賃金は、就業規則等によって公約した任意恩恵的な賃金も入ります。
労働基準法において、「賃金とは、賃金、給料、手当、賞与その他名称の如何を問わず、労働の対償として使用者が労働者に支払うすべてのものをいう。」と定義しています(労基法第11条)。
すなわち、

  1. 使用者が労働者に支払うもの
  2. 労働の対償であるもの

の要件を満たすものは、どんな名称であっても、すべて賃金です。
なお、就業規則等により支給条件の明らかな賞与や退職金も賃金に含まれ、事業主には支払い義務があります。
労働保険の年度更新の計算の基礎となる賃金とは、実際に労働した対価として支払われた賃金の総額です。任意恩恵的に支払われたものは賃金総額に含めません。
労働基準法における賃金とは、就業規則において使用者が労働者に支払いを約束したすべてものです。

「労働の対償」とは

 

hyou491.gif

 

賃金の決め方や賃金の額については、基本的には、労使が対等の立場で自由に決定するものですが、次の点に注意する必要があります。

  1. 労働者の国籍、信条、社会的身分を理由として差別的取扱いをすることはできません(労基法第3条)。
  2. 女性について、女性であることを理由として、男性と差別的取扱いをすることはできません(労基法第4条)
  3. 最低賃金法に基づき定められた最低賃金額を下回る金額とすることはできません(最低賃金法第5条)。

得々情報 一覧