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第50話「曜日・時間・作業内容等によって時間給が異なる割増賃金の計算方法」

投稿日:2003年03月28日

労働する時間や曜日、作業内容によって時間給が違っている場合の割増賃金の計算方法について考えてみました。アルバイトやパートタイマー等を雇用した場合に生じることが多い事案です。
労働基準監督署は、平成15年度はサービス残業など時間調査について、臨検を実施する計画をしています。実労働時間及び割増賃金の計算の正確な知識と理解が必要です。

パートタイマーを時間給で雇用しています。作業内容や曜日によって時間給が異なっています。平日に事務作業を7時間行った後に、荷物仕分作業24時間勤務させました。この場合、時間外労働に対する割増賃金はどのように計算したらよいのでしょうか

(1) 平日の事務作業 時間給:1,000円
(2) 平日の荷物仕分作業 時間給:1,200円
(3) 土曜日・日曜日事務作業 時間給:1,100円
(4) 土曜日・日曜日荷物仕分作業 時間給:1,300円

1.時間外労働はいつから始まる

労働基準法は、法定労働時間を一日8時間と定め、この時間を超えた時間から時間外労働がスタートします。そして、この時間外労働に対して割増賃金に支払いが必要となります。(時間外労働は一日8時間、一週40時間を実労働時間が超えたときから発生します。
変形労働時間制を採用している場合は、その変形労働時間制において特定の日及び特定の週などに、就業規則や労使協定において定めた時間が法定労働時間となります。
変形労働時間制の場合の時間外労働の計算方法は少し複雑です。勘違いなどをしないように正確に計算をして下さい。)

この場合は、事務作業7時間に荷物仕分作業の1時間を加えた8時間までは法定労働時間です。時間外労働の対象となる労働時間は、8時間を超えて労働した荷物仕分作業の4時間のうち、法定労働時間に算入している1時間を除いた残りの3時間です。

2.割増賃金の計算方法

「使 用者が労働時間を延長し、又は休日に労働させて場合においては、その時間又はその日の労働については、通常の労働時間又は労働日の賃金の計算額の2割5分 以上5割以下の範囲内でそれぞれ命令で定める率以上の率で計算した割増賃金を支払わなければならない」(労働基準法第37条)
法第37条に規定する「通常の労働時間又は労働日の賃金」とは、原則として、所定労働時間に対する賃金のことをいいます。時間給のみの場合は、その時間給が通常の賃金となります。
事例のように作業内容によって時間給が異なっている場合は、時間外労働を行った時間に従事している作業に基づく時間給が「通常の労働時間又は労働日の賃金」という事になります。
この場合の賃金計算は次のとおりです

通常の労働時間に支払う賃金の計算

1.平日の事務作業の賃金 1,000円×7時間=7,000円
2.平日の荷物仕分作業の賃金 1,200円×1時間=1,200円

時間外労働に対する割増賃金の計算

3.平日の荷物仕分作業の賃金

支払うべき賃金の額

(1)+(2)+(3)=12,700円

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