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第55話「最近の通勤災害事例」

投稿日:2003年07月16日

>通勤災害は、労働者災害補償保険法に「労働者の通勤による負傷・疾病・障害・死亡による保険給付を行う」ことが規定されています。
>通勤とは「労働者が就業に関し、住居と就業の場所との間を合理的な方法及経路により往復することをいい、業務の性質を有するものは除かれる」とされています。
>次のような場合はどうなるのでしょうか。

1.マンション10Fに住んでいる社員が自分の部屋に帰宅するため乗ったエレベーターのドアに指を挟まれて負傷しました。通勤災害に該当するでしょうか
(1)事例1:出勤のためアパートの2階から1階に降りるときに転んで負傷した場合
    
=>「労働者が居住するアパートの外戸が住居と通勤経路との教会であるので、当該アパートの階段は通勤の経路として認められる」(昭49・4・9基収第314号)
(2)事例2:一戸建ての玄関先で出勤時に転倒してケガをした場合
    
=>「被災労働者の住居内において発生した災害であるので、老妻保険法に規定する住居と就業の場所との間の災害には該当しない。なお、本件の場合、当該住居と通勤の経路との境界は公道から被災労働者の所有する敷地に入る地点であると考える」(昭49・7・15基収第2110号)
注:通勤の境界点は、公衆の通行が自由である場所からが通勤経路となるといえる。集合住宅の場合は、自分の部屋と共有廊下を区切るドアが境界点となる

2.毎朝、妻を勤務先へ送った後、出社している車で通勤している共働きの社員が、妻を勤務先(回り道となる)へ送った後、会社へ向かう途中に交通事故にあった場合、通勤災害が認められる場合
>事例:自宅から自分の勤務先と同じ方向の約750m先にある妻の勤務場所で妻を下車させた後、自分の勤務先に向かう途中の事故
    
=>認められた理由:「マイカー通勤の共働き労働者で、妻の勤務先が同一方向にあって、しかも夫の通勤経路からさほど遠くなければ、2人の通勤をマイカーの相乗りで行い、妻の勤務先を経由することは通常行われることであり、このような場合は合理的な経路として取り扱うのが妥当である」(昭49・3・4基収第 289号)

3. 夫婦共働きの労働者のマイカー通勤の場合、配偶者の勤務先を経由して(回り道となる)、その後、自分の会社に向かう遠回り通勤が「合理的な方法」として認められなかった場合
>事例:自宅とは反対方向になる妻の勤務場所(往復3km離れている)に妻の退勤時に迎えに行く途中の事故
    
=>「妻の勤務先が同一方向にあるが、迂回する距離が3kmと離れており、著しく遠回りと認められ、これを合理的な経路として認めることは困難」(昭49・8・28 基収第2169号)
注:道路工事など当日の交通事情によって、通常利用することがほとんど考えられない経路をやむを得ず迂回して利用する場合も「合理的な経路」と認められる

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