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第62話「前払い退職金に社会保険料の取り扱い」

投稿日:2003年12月26日

厚生労働省は、10月1日付で、退職金相当額を給与又は賞与に上乗せして前払いされる場合の社会保険料の取り扱いについて、これを、原則として、健康保険法及び厚生年金保険法における報酬又は賞与に該当するとし、その旨を地方社会保険事務局長あてに通達しました。

1.照会
     退職金については、これまで報酬とみなさず、社会保険料の付加の対象としておりませんが、近年、企業において賃金体系や退職金制度の見直しが進む中で、退職金相当額の全部又は一部を在職中に給与や賞与に上乗せして前払いする制度(いわゆる退職金の前払い制度)もみられるようになっております。このような退職金の支払いについての、社会保険料の取り扱いは、どのようにすればよいのでしょうか。

2.回答
>被保険者の在職時に、退職金相当額の全部又は一部を給与や賞与に上乗せするなど前払いされる場合は、労働の対償としての性格が明確であり、被保険者の通常の生計に当てられる経常的な収入としての意義を有することから、原則として、健康保険法に規定する報酬又は賞与に該当するものであること。
>支給時期が不定期である場合についても賞与として取り扱い、これが年間4回以上支払われているものであれば、報酬として通常の報酬月額に加算して取り扱うこと。
>また、退職を事由に支払われる退職金であって、退職時に支払われるもの又は事業主の都合等により退職前に一時金として支払われるものに関しては、従来どおり、健康保険法に規定される報酬又は賞与には該当しないものとして取り扱うこと。
注:確定拠出年金も前払い退職金制度として、拠出金を毎月の給与に上乗せして支給を行っていますが、所得税は非課税扱いとなっています。
また、中途退職時に支給される退職一時金は、退職者の生活費に当てられる場合が多く、定年退職時に支給される退職金は老後の生活費として当てにされているものです。
退職金規定に基づいて支給される前払い一時金を、老後のために貯蓄する労働者にとっては、生計費には該当しないことも考えられます。こんな場合はどうなるのでしょうか。

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