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第75話「有期契約で明示する更新事由の 具体的内容」

投稿日:2004年10月25日

有期契約のパートを雇用する事業所においては、平成16年1月から施行された改正労働基準法で、有期契約を結ぶ場合、契約更新の可否のほか、 その具体的な事由を明示することが必要になりました。契約を更新する場合の事由としての具体的に、次のような内容の明示が求められます。

≪職務遂行能力や勤怠に関する基準などを明示≫
平成16年1月1日施行の改正労働基準法第14条に基づき制定された「有期労働契約の締結、更新及び雇い止めに関する基準」により、有期労働契約の締結に際しては、
①契約更新の有無
②更新する場合がある旨を明示した場合は更新する場合またはしない場合の判断基準を明示することが必要となりました。
また、契約途中でその内容を変更する場合は、変更内容を明示することも必要です。
契約を更新する場合がある際は、更新する場合の判断基準(更新条件)の明示を行います。

更新する場合またはしない場合の判断基準(平15.10.22基発第1022001号)
①契約期間満了時の業務量により判断する
②労働者の勤務成績、態度により判断する
③労働者の能力により判断する
④会社の経営状況により判断する
⑤従事している業務の進捗状況により判断する

更新条件を明示する場合の具体的内容

  1. 職務遂行能力に関する基準
    効率よく的確に、かつ、注意深く職務を遂行できること等
  2. 職場適応能力に関する基準
    常に上司の指示をよく守り、他の従業員と協調して職務を遂行できること等
  3. 勤怠に関する基準
    契約期間中の遅刻、早退が○回以下であって、かつ、正当な理由があると会社が認めたものを除き欠勤がなかったこと/契約期間中の出勤率が○%以上であったこと/就業規則第○条に定める懲戒解雇事由に該当する行為がなかったこと等
  4. 健康状態に関する基準
    心身ともに健康であって当該契約期間内に、労働契約の本旨に沿った労務の提供ができると見込まれること等
  5. 経営状態に関する基準
    経営上の必要または天災事変その他これに準ずる事情により、所属事業場・所属部署の移転、縮小、廃止などの事情がないこと等
  6. その他
    担当業務の遂行状況及び進捗状況またはその必要性などから判断して契約更新の必要があること等

また、これらの条件の全部を満たした場合とするのか、それとも一部を満たした場合とするのか、後日のトラブル未然防止のためには、明らかにしておくべきでしょう。
ただし、「全部を満たした場合」とする場合には、業務の都合などにより一部満たせない条件があった者との契約を更新する必要が生ずることも考えられるから 「一部の条件を満たせなかった場合でも会社が必要と認めたときは更新を行うことがある」旨を明示しておいた方がよいでしょう。

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