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第79話「労働保険、強制加入に動く (2005年度から「職権適用」へ) 」

投稿日:2005年04月10日

厚生労働省 制度空洞化の回避措置
① 強制加入にいたる背景
    
・ 厚生労働省の推計では、2003年度の加入事業所263万社のうち、2割相当の60万社が労働保険に未加入で保険料負担していない。
・ 未加入事業所が増えることにより、加入している事業所の保険料負担増にしわ寄せがくることを避けるための措置とも取れる。
・ 労働保険料は、厚生年金と医療保険を合わせた保険料の1割程度であるが、コスト負担、認識の不足から加入手続きをしない中小・零細企業も少なくない。
② 社労士等を「適用指導員」として採用
    
・ 現在、厚生労働省では、保険の加入促進、徴収業務にあたっている約2000人体制から、約100人を増員する。
・ 増員する約100人には社会保険労務士など制度に詳しい専門化が「適用指導員」として採用される。地域の業界団体等の協力も受け、未加入事業所の把握や加入指導にあたる。
③ 職権適用へ
    
・ 「職権適用」とは、労働保険に加入していない事業所を強制的に加入させる公権のこと。
・ 事業主が加入を怠っていても従業員が失業や事故にあった際は、一定の給付を受けることができる。
・ ただし、故意または重大な過失により加入していなかった場合は、2年前に遡って保険料を徴収され、かつ罰金として10%の追徴その他が加算請求される。
・ 今後は、度重なる指導にもかかわらず加入しない従業員20名以上の事業所を中心に「職権適用」が発動される。
・ 10月からは労災保険の未加入事業所に対し、事実上の罰則も強化する。
・ 加入指導に応じない悪質な事業所で労災事故が起きた場合は、今は保険給付額の4割を徴収しているが、全額負担に改められる。
    
<例>
死亡事故のケース
遺族補償一時金は、賃金の1000日分が支給されるが、賃金日額が10,000円であった場合は、今までは、400万円の負担であったが、これからは、全額の1000万円の負担となる。

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